国際・国内会議カレンダー l サイトマップ l お問い合わせ 
ホーム 学術講演会 研究会等 学会誌 情報コーナー 会員サービス 入会案内
Q&Aトップ  >  生体磁気(中・上級)  >  Q2
   磁気物理についての質問    磁気材料についての質問    磁気応用についての質問    生体磁気についての質問    磁気・光磁気記録についての質問    センサアクチュエータについての質問
Q2. 病院でMR検査、MRIなど大きな磁石の中に人が入って脳の腫瘍などの検査をすることがあります。 このMRIはどういう原理や仕組みなのでしょうか?
A2.

まずMRですがこれはMagnetic Resonanceの略で、磁気共鳴といいます。
その磁気共鳴の中でも核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance)の原理に基づき、水素原子核(プロトン)の状態を調べることにより、体の状態を知ることが出来ます。 プロトンは水(H2O)に必ずふくまれており、この原子の核磁気共鳴状態を調べることにより、そのプロトン原子の周りの状態が健康状態か、そうでないかがわかります。これにより異常部分の診断が可能になるものです。

MRIはMagnetic Resonance Imagingといい、核磁気共鳴の状態、しいては体内のプロトンの空間分布の状態を画像化して、示す手法です。
まず、核磁気共鳴の原理ですが、ある原子核が静磁場中に置かれると、核の持つスピンは磁場の方向に平行・反平行の状態の2つの状態のうちエネルギーが低い平行状態にそろいます。

図1

この2つの状態のエネルギー差を考えてみましょう。これはゼーマン効果として良く知られていますが、 このエネルギー差に相当する周波数のマイクロ波を照射すると、そのエネルギーを吸収して、状態Aから状態Bへ移ることができます。 これが共鳴現象です。状態AとBのエネルギー差は外からかけた静磁場の強さに比例しますが、 共鳴するマイクロ波の周波数は、以下のようにあたえられます。

f=(γ/2π)×H...............(1)
γ:磁気回転比 H:静磁界

状態Aと状態Bのエネルギー差は、静磁界に比例しますから、もし1T(テスラ)の磁界中にあるプロトンの場合は、 この共鳴周波数は 42.6MHzになります。したがって、42.6MHzのマイクロ波を照射すると、吸収が起き、AからB状態に励起されることになるのです。 しかし実際に、共鳴を起こさせるためには、このマイクロ波から発生する磁界を、静磁界の方向(これをz軸とする)に直交する方向(xまたはy軸)にかける必要があります。

図2
図2

これは図2にあるように原子核のスピンは歳差運動といって、静磁界のz軸の周りを、“こま”のようにスピンが回転しています。 そのスピン先端部分の円回転の周波数が、ラーマー周波数と呼ばれ式(1)の周波数なのです。 このマイクロ波からの回転磁界の周波数と、静磁界中でスピンの歳差運動周波数とが一致すると、スピンは螺旋回転してBの状態に変化します。

共鳴が起きると、マイクロ波が吸収されるので、マイクロ波の透過パワーをモニターしていると、共鳴時は、透過してきたパワーは吸収された分だけ、小さくなっています。 この吸収量は、プロトンの濃度に比例しますので、たとえば体の中のプロトンの密度分布を知ることができます。 実際は、たとえば人の脳の部分に外から傾斜磁界をかけておき(たとえば頭の天辺はH+aの磁界で、あごの辺りはHの磁界)、マイクロ波の周波数を固定しておき、磁界を変えていくと、共鳴条件を満たすところのスライスされた部分のみの情報を得ることができ、 断層写真を得る事とが出来ます。(xまたはy方向にも緩やかな傾斜磁界をかけて、この磁界をスイープすることにより、体のある断層面の2次元マップを作ることが可能です。)

もう一つ重要な現象があります。それは緩和現象に関することです。 図1でマイクロ波を吸収して、A状態から B状態になっても、ある時間たつと、Bの状態はエネルギーが高い状態ですから、マイクロ波を放射したり、熱エネルギーを出して、Aの状態に戻ります。 マイクロ波の照射を止めると、B状態のスピンはA状態に最終的には戻りますが、この過程を緩和といいます。 緩和現象には2つのタイプがあります。

一つは、スピンー格子緩和と呼ばれるもので、B状態のスピンのエネルギーが周囲の格子に伝わり、スピンはA状態に戻る現象です。 もう一つは、スピンースピン緩和とよばれるもので、B状態のスピンの回転位相がそろっていたのが、バラバラの位相になる現象です。 これらの時間を計るには、励起マイクロ波パルスの照射直後に、スピンが放出する電磁誘導を測定する方法や、励起マイクロ波パルス列をうまく組み合わせて、スピンの位相をあわせこみ、(スピンエコー法と呼ばれる)はかる方法があります。 これらの値は、健康状態でのプロトンの緩和時間と、正常でない局部の緩和時間が異なることがあり、多くの診断データの蓄積から、非健康状態を見つけ出し、診断に役立てられています。

このようにMRI では、電磁誘導の強さによって画像のコントラストを作っており、そのパラメターとしては、プロトン濃度、T1,T2などの値から、断面を画像処理化して、病変、異常部位の検査に役立っています。

■関連ウェブサイト
日本磁気共鳴医学会ウェブサイト内関連情報

回答作成: 平成16年度MSJ企画委員会

このページのトップへ

前へ         質問リストへ戻る