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日本ウォータージェット学会

会長挨拶

会長就任のご挨拶
会長 割澤 伸一

 このたび、会長に推挙いただきました、東京大学の割澤です。井上前会長におかれましては、長きにわたり学会を先導していただきました。誠にありがとうございます。井上前会長のこれまでの取り組みを無駄にせぬよう、そして、学会の発展に貢献できますよう、尽力して参ります。
 2020年初頭より新型コロナウイルスが蔓延し始め、社会は大きな変化を余儀なくされました。私が所属する大学では、4月からすべての講義がオンラインとなりました。実験や演習も多くはオンラインでの実施とせざるを得ず、学生は物足りなさを感じながらも実現象の理解に努めました。研究室では、新型コロナウイルス対策のマニュアル策定、フェイスシールドや消毒の準備、人口密度管理などの体制を構築し、なんとか研究活動を続けております。しかしながら、ほぼすべての講演会や国際会議はオンライン開催となったため、発表の機会は維持されたものの、他の研究者との交流や雰囲気実感という重要な経験が学生には得られませんでした。会員の皆様方の周辺ではいかがでしょうか。
 学会におきましても、総会の実施につきましては理事会の皆様方に多くのご提案を頂戴し、例年より時期が遅れ、方法も全く異なる形となりましたものの開催することができました。技術報告会や委員会による見学会におきましては、都道府県をまたぐ移動の制限や感染症対策に必要なリソース確保の限界により断念せざるを得ない状況です。学会が果たすべき機能の提供が難しくなることは大変残念なことであります。
 その一方で、社会に目を向けますと、新型コロナウイルス感染を契機にこれまで見えてこなかった課題が顕在化し、従来のやり方や役割の見直しがつぎつぎと検討され実施される転換期を迎えています。リモートワークやオンライン会議に代表される働き方の変化は会員皆様方がもっとも実感していることと思います。XR技術、ロボット技術、5G技術を積極的に活用したデジタルトランスフォーメーションは、情報関連産業だけでなくこうした技術でつながれる他の産業にも大きな変革を起こしつつあります。
 噴流工学を基盤とする日本ウォータージェット学会においても、変化し進化するための絶好の時期であると捉え、前に向かって挑戦していくことが大切です。もちろん、学会は学術・技術情報の共有と発信の場であり、学術・技術の体系化の場であり、多様な出会いを促進して新たな価値を創造する場であるべきであり、それは変わらぬ価値です。その学会の役割を最大限に果たすために、何を変えていくべきか、何を変えずにいくべきかを会員の皆様方とともに考え、実行して参ります。
 会員の皆様方には、忌憚のないご意見をお寄せいただきますようお願い申し上げます。


割澤 伸一 わりさわ しんいち 東京大学大学院新領域創成科学研究科
専門分野:生産工学、センシング
略歴:1994年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了、1994年東京工業大学助手、
2000年東京大学講師、2003年同助教授、2014年同教授。